書家 小野﨑啓太

九成宮醴泉銘~文字Beauty講座①~

2018.1.18

九成宮醴泉銘~文字Beauty講座①~

久しぶりとなりました、「文字Beauty講座」始動。
「文字を書くために、文字の美を知ろう。」

そんなことのために始めました。

「文字を書く」ため。
そして、

「文字は美しく書こうとしなくていい!!」

美しくなくていいわけじゃないです。笑
美しさって、単純な要素じゃないんですよね、たくさんあるんです。
ちょっとずつその「美」について見ていこう。
あなたの字は、書ける。

これを念頭に始めております。
「美しい文字を書くために」 ではなく、

「文字の『美』を知るために」 の講座。 どうぞよろしくお願いします。

——————————————————————————————-

扨、確認のために。

ペンの持ち方!! 文字は止まる!! この二つOKですか?おさらいをお願いします^^

↑↑クリックできます

こんな感じでサイトBLOG内、ジャンル分けでみることができますので!モバイルOK。

—————————————————————————————————
トップの画像をご覧ください。
私の、鉛筆による臨書(模写したもの)です。

文字Beauty講座 Beautyなんだけど美しく書こうとしなくていい。
今日はこれを書きましょう。

下の画像もご覧ください。


『九成宮醴泉銘』歐陽詢(632年)部分

「古典」です。「古典」つまり名筆中の名筆。歴史の中で これぞ!というもの。

書道をなさる人なら誰でも知っている。
高校書道Ⅰでも必ず習う。『九成宮醴泉銘』(きゅうせいきゅうれいせんめい)
です。
歐陽詢の代表的な作品としてとても有名です。

めちゃくちゃ綺麗な字じゃないか。って。

これがどういうものであるか。歴史講座はまた別にするとして、
ざっくり。

中国は唐の時代。初唐と呼ばれた最初期。
時の二代皇帝太宗(李世民)が避暑地として訪れた九成宮。
そこにたまたま、とても貴重な水が湧き出て泉となりました。

「これは皇帝の徳によるもの」と、そのことを記念し、碑を建てることに。

勅命により臣下であった魏徴が撰文、歐陽詢が書きました。
謹厳な楷書によるもので、「楷法の極則」と呼ばれています。

この『九成宮醴泉銘』のすごいところ。
たぶん、この書(字)をみて、「うまい」「うつくしい」と感じないひとはいません。

「文字」もしくは「実用の書」に対する『美』は、この古典一つで解説は済む。
といって過言ではありません。

現代のどんな「文字講座」も、これに準拠しないものはないと言えます。
(九成宮醴泉銘に対する説明のあるなしに関わらず)

日本では昭和初期から、教科書他、文字に関する規準をこの書風によるものとし、模範としてきました。
至る所この書風であったわけですから、その影響は隠せません。
文字は、自分で書きますが、半分は時代が書かせます。

昭和を通してこの書風が教育書体の規準となったからには、今の私たちもこの書風が美しいと感じないはずはありませんよね。知らず知らず、そう習ってきたわけです。
日本は、江戸時代まで、公用書体は草書(御家流)ですから、実は楷書を書けない人もたくさんいました。え?と思いますよね。楷書が規準になったのは明治です。もちろん江戸時代にも楷書はありました。江戸時代の人が九成宮醴泉銘を見たらどう思ったでしょう?それでも美しいとは感じたでしょう。きっと。

九成宮醴泉銘は歐陽詢が勅命によって、必死になって書き上げました。
全身全霊で挑んだはずです。「書」が最大の文化として重んじられた時代。自分が思う適度な書で済んだはずがありません。歴史を踏襲し多くを学び、作り上げました。
大唐の英知が詰まった完璧な書なのです。
中国が作った初めての都会的な書だな、とも思うわけです。

「文字Beauty講座」 今回は『九成宮醴泉銘』

完璧な美を、ぜひ書いてみてください。

しかしこれ、すんごい時間かかるんですよね。とても大変です。
それでも見ながら書くだけですから、歐陽詢はもっと大変だったはず。
現代の「実用」の規準なんですが、果たして本当に「実用」に向くんでしょうか・・・。

なんといっても「楷法の極則」ですからね。これ以上はないと。
「極み」なんです。

美しいマネキンに、美しい服が着せられている。
「美しい・・・」そう感じて、自分で着てみる。
『おい、ちょっと違うじゃないか!!』
もうちょっと実用的なマネキンを置いてほしい。

・・・美しい書なのですが、それなりに楽しんで書いてみましょう。どうですか。

こちら、A4でコピーしてご使用ください。


小野﨑啓太

————————————————————————————————–
『九成宮醴泉銘』 ペン臨書

ペン:MITSUBISHI鉛筆B4

所要時間:25分

ご意見・ご質問、文字Beauty講座 ペン臨書完成作品はこちら
↓↓↓↓
mail@onozakikeita.com

是非完成原稿をお送りください。
アドバイス他、許可がいただければ当ブログ内でのご紹介もさせていただきます。