曹全碑(156)は1570年代の初頭に今の陝西省から出土したと伝わる。
後漢の典型的な八分隷で、均整のとれた空間と爽やかに伸びる線が魅力である。
1400年の間地中にあったこともあり、西安碑林博物館では今作られたかのような美しさを見ることができる。
天保年間に日本へもこの拓が伝来したそうで、ずいぶんと流行したらしい。
歌舞伎などに見られる唐紙も、この曹全碑の風合いで書かれたものが多い。
篆書では泰山刻石などの小篆、楷書では九成宮禮泉銘など、各書体にその典型となる書風は存在するが、
隷書では曹全碑と言っても差し支えないと思う。
とは言っても漢隷の醍醐味は他にあると考えている。
拙臨はやや形を優先してしまったために線の抵抗感に乏しいと感じる。
写真が小さくて申し訳ないことです、見入っていたためにこれしか撮ってくることができず。
2014年に中国を訪れた際の写真です。
二玄社・書跡名品叢刊より