書家 小野﨑啓太

サトウくん~佐々木想監督・短編映画~

2018.1.15

サトウくん~佐々木想監督・短編映画~

佐々木想監督映画 「サトウくん」

2017年春、沖縄国際映画祭にて上映された「サトウくん」
佐々木想監督の短編映画だ。 タイトル制作という大役を仰せつかり、
この度、2018年1月27日(土)~2月2日(金)まで、新宿K’sシネマにて上映される。

映画「サトウくん」公式HP
http://kmnsato.webcrow.jp/

佐々木監督とのご縁は、「隕石とインポテンツ」以来。
カンヌ映画祭ノミネートの日本短編映画として堂々とした傑作だった。

恥ずかしながら私はそれまで、「短編映画」(ショートフィルム)なるものを観たことがなかった。
「映画」というと通常は90分~120分程度のものを指すのではないか。そのことに疑問を持ったことがなかった。日本ではあまり認知されていないのかもしれない。
「短編映画」という言葉を佐々木監督から聞いた後も、「短い映画なのか。」そんな程度に考えていた。

実際にみせていただいた 短編映画・「隕石とインポテンツ」
自分の想像を遥かに超えた作品だった。
またさらに、カンヌ国際映画祭2013で観た世界の「ショートフィルム」達は度肝を抜く作品群であった。

「短ければ、いろいろ楽だろう」 と考えていた。なんでなんで。
「制限のある中に、全てを込めていく。」

監督や役者、携わる人それぞれの底力が露わになるのが短編映画なのだった。
映画という媒体、「映像」を使った、ひとつのポエムだとも感じた。

10分という制限は、起承転結はおろか、多くの基本的な映画の流れを破壊する。
たとえば主人公を説明し、理解させ、視聴者に認識、定着させる、この後の流れを期待させる、そんな時間は、ないのだ。

ふっと始まり、あっという間に終わる短編映画で、認識の時間や考える時間は、上映後。視聴する人間の頭脳は10分という時間にとても追いつかない。
その後、疑似体験であったかのように考えさせられる。
「隕石とインポテンツ」はひとつのアート作品が目の前を走って行ったかのようだった。

佐々木監督の作品には、いつも隠される「問題提起」があるようだ。
シュールすぎる流れにポップさもあり、どこかに懐かしいような愛着を感じる。

今回の「サトウくん」

はてさてどんなものであろうか。もちろん私は観たけれど、ぜひ会場にてご覧いただきたい。他の短編映画も同時上映である。
あらたな「問題提起」に、注目されることは必至だ。

「日本」 これからどう進むのであろう。 現代にぴったりの映画だ。