書家 小野﨑啓太

医療 芸術 社会に不可欠なもの

2020.5.7

医療 芸術 社会に不可欠なもの

エッセンシャルワーカーという言葉をよく聞くようになった。
社会で私たちが生きていくために必要不可欠な仕事をしている人々を指す言葉だ。

今朝、医療従事者の新型コロナ感染が世界で九万人超というニュースが目に入った。
四月当初、すでに医療関係者の逼迫した状況は私たちの耳に入っていた。病院では医療病棟を分け、コロナ患者「専用」の病棟で働く医師、看護師がいることをも聞かされた。もちろん普通病棟との行き来はできない。必要人数で働き、人員を変えることも、増やすことも減らすことも容易にはできない。ここで働くと決まった日、思いはどれほどのものだっただろう。逃げ出したくなるのではないだろうか。防護服は脱ぐことができても、日常から不安をぬぐうことはできないはずだ。

医療従事者が、使命感で働いてくれていなかったら、世界は大混乱になったはずだ。数々の医療崩壊を招きながら、逼迫した状況、衛生、精神状態にありながらいまも働いてくれている。ひとりひとりの感染と向き合って仕事をされていることが、いまの世界を救っている、助けているということは、忘れてはならないし、今の私たちの日常は医療従事者がくれていることを忘れてはいけない。それはこの状況がたとえ終息しても同じだ。

さて、自粛生活の中、私たちが求めたものは人との触れあいと芸術ではないだろうか。歴史を見れば、芸術は様々な影響を私たちに与え、社会を進展させてきたように思う。歴史の節目節目には、必ずと言っていいほど大きな芸術がある。映画館、美術館、劇場、コンサートホール、様々な施設が、今は戸を閉ざしている。芸術の閉鎖は社会の閉鎖と感じた人も多いのではないだろうか。

自粛生活の中、自分にできることはなんだろうと考えた日、有名人のように、何百万円とはいかない、ほんの少しかもしれない、私にできる限りの感謝を義援金という形で届けようと考えた。それで何が変わるわけでもないかもしれない。けど、どうしても動かなければならない。多くの人に、私なりの芸術を届け、届いた方々の喜びと安らぎからの支援を、医療従事者に届けたい。