書家 小野﨑啓太

第67回独立書展出品作「悪」

2019.1.21

第67回独立書展出品作「悪」

第67回独立書展

「悪」 180cm×180cm

自分の心の内側に、誰もが抱いているだろう「悪」の心

悪の概念とはなんだろうか、時代により異なり、文化的・社会的にも大きく違うことはもちろん、個人の考えでも差異はある。行動の結果としての「悪」が存在することは明白だ。
行動にさえ表れなければ、「悪」は自分の身体からはまっさらに消えているのだろうか。
そんなことはなく、やはり自分のどこかに、善とも悪ともつかないなにかぬっとした生き物がいる。それは果たして「悪」なのか。
「悪」ではないなにかの感情が、不意に、衝動的に、あるいは積もり積もってそれが行動として表れ、結果「悪」となるものなのだろうか。

心の「悪」と、結果の「悪」、 後者は法で定まり、他者が客観的・経験的に判断するものでもある。
前者の「悪」は、誰が判断するのだろう。概念も規定もない感情の「悪」

私たちは目の前にいつもと違う光を見たとき、どこかでそいつが蠢くことを感じる。
そして、いつの間にかそいつに支配され、そのことに気付くこともなく時間が過ぎる。

確固とした闇を感じたとき、私たちはそいつの存在に気付き、怯え、震える。

まるで自分の心の中ではない、どこか遠くから、自分の意思では微動だにできない強い力で、
そいつは今日も自分を見守り、育ててくれさえもする。

遠い遠い世界から。

※本展盛況のうちに幕を閉じました。
お越し下さった皆様、ありがとうございました。