第66回独立書展にて「準会員賞」を受賞された青木孝道氏の作品。
『臨・積時帖』
青木孝道氏は大学時代の先輩であり、同じく書を志す同志でもあります。
以下、親しみを込めて呼称を先輩とさせていただきます。
積時帖は唐代の能書、虞世南が書したとされる行書の古典です。
大らかでよどみのないことが特徴。
太宗皇帝の温泉銘などにも通じる書法です。
虞世南が太宗皇帝の書の語り相手っだったことからも、太宗皇帝に与えた影響は計り知れません。
臨書に取り組むことは書を志す者の基本中の基本。
基本であり、生涯続く原則でもあり規範でもある。
それがために、作品として発表するには本当に難しいものでもあると思います。
積時帖はややもすると流れに溺れがちで臨書として軽薄になりがちだと思います。
結構(形とその組み方)を重視して極力流れを抑えた重厚な線質が先輩の臨の魅力だったかと、
不勉強ながら感じたことを記載させて頂きます。
今回のご受賞にあたられて先輩は「まさか臨書で」と仰っていました。
なによりこの賞、なかなな受賞できるものではありません。
20年・30年と研鑽を積まれて受賞するのが当然という世界です。
堅実に書と向かい合う姿が目に浮かぶような書作でした。